国立劇場初春歌舞伎公演 通し狂言旭輝黄金鯱あさひにかがやくきんのしゃちほこ   大劇場於て(千秋楽)  2010/1/27

初春公演は尾上菊五郎、中村時蔵、尾上松録、尾上菊之助を中心として待望の復活通し狂言です。
主人公は≪柿木金助≫。江戸時代に大凧に乗って名古屋城天守閣の金鯱の鱗を盗んだという伝説の盗賊です。
この度、名古屋開府400年に因み、『けいせい黄金鯱』に大胆ナアレンジを加え『旭輝黄金鯱』と題して《柿木金助》を歌舞伎の舞台に甦らせました。    【四幕八場】
あらすじ時は室町末期、尾張那古野なごや城の小田(おだ)家でお家騒動が起きます。小田と足利将軍に父を滅ぼされた金助は、これを利用して、亡父の復習と天下掌握の機会を狙います。その前にたちはだかるのが盗賊、向坂陣内。二人は息詰まる対決を繰り広げるが、実は金助の母(村路)を挟んで不思議な因縁で結ばれています。さらに小田の当主・春長出生の秘密とも関わり、意外なストーリー展開が綴られます。金助の野望の顛末は・・・足利・小田の運命は・・・??

感想金助(菊五郎)の〃黄金の鯱盗り〃。大凧の宙乗りで客席上を斜めに飛んできて大屋根に降りるスペクタクルは迫力満点です。私の眼の前を大凧に張りついた菊五郎がゆっくり通過して行きました。
金助の妖術で暴れだす金鯱と小田の家臣・鳴海春吉(菊之助)との格闘を舞台に実際に木曽川の水として本水を使い体中を水浴びながら鯱と戦い、つかむダイナミックな趣向を織り込んでいました。歌舞伎で実際に舞台で水が流れるのは初めてみました。迫力満点でした。
大詰めの金鯱観世音の時、舞台が暗転して、千手観音の手がラップの曲に合わせて次々と動くのに驚きました。
歌舞伎とラップ、ロックも合うのですね。妙に合っていたのでおかしかったです。
菊五郎の金助を始め、時蔵の村路・足利家の乳人園生二役、松録の甚内、菊之助の春吉など好配役が揃い、歌舞伎の醍醐味と楽しさに溢れた作品でした。

1月公演のパンフレット:[旭輝黄金鯱]

1861年9月の錦絵:2代目市川米蔵の柿木金助


何時もより和服の方が多かったです           

     緞帳は「四季草花図」です  

               まゆ玉の飾りがつるしてありました


序幕(京)宇治茶円茶摘みの場=足利家家老石谷歩左衛門(彦三郎) 小田勘十郎春勝(松也) 足利国姫(梅枝)歩左衛門妻 園生(時蔵) 序幕(京)宇治茶園茶摘みの場=足利家腰元関屋(萬次朗)小田家奴瀬平(権十郎) 右より

序幕(京)宇治街道の場=盗賊柿木金助(菊五郎) 盗賊向坂甚内(松緑) ほか 序幕(京)宇治街道の場=足利国姫(梅枝) 金助母村路(時蔵)
ニ幕目(尾張)那古野城内大書院の場=小田家後室操の前(田之助) 小田上総介春長 実は山形道閑の倅 後で小田家家臣
鳴海春吉(菊之助)  向坂甚内実は小田上総介春長(松緑)  小田家家老山形道閑(亀蔵)
ニ幕目(尾張)那古野城内大書院の場=勅使南宮左中将友明 実は柿木金助(菊五郎) 小田上総介春長(菊之助) 勅使南宮左中将友明 実は向坂甚内(松緑) ほか
ニ幕目(尾張)那古野城天守閣屋根上の場=柿木金助(菊五朗) 小田家家臣鳴海春吉(菊之助) 小田上総介春長(松緑)ほか  ニ幕目(尾張)那古野城天守閣屋根上の場=柿木金助(菊五郎)  大凧の宙乗りで天井から屋根の上に降りたのは圧巻
三幕目(美濃)笠縫里柿木金助隠家の場=柿木金助(菊五郎)金助母村路(時蔵) 足利国姫(梅枝) 小田上総介春長(松緑) 三幕目(美濃)笠縫里柿木金助隠家の場=金助母村路(時蔵)柿木金助(菊五郎) 金助の子分ころの三蔵(亀寿) 金助の子分ねりの定八(亀三郎)  ほか
大詰(伊勢)御師大黒戎大夫内の場=戎大夫娘おみつ(右近)御師大黒戎大夫(團蔵) 戎大夫弟子万斎実は鳴海春吉(菊之助) 石谷歩左衛門妻園生(時蔵) 金田金大夫実は柿木金助(菊五郎) 戎大夫弟子千斎実はねりの定八(亀三郎) 下女おふく(男虎)  ほか 大詰(伊勢)御師大黒戎大夫内の場=金鯱観世音菩薩
(菊五郎) ロックの音楽に乗って手が動くのが面白かった
大詰(伊勢)御師大黒戎大夫内の場=ねりの定八(亀三郎) 柿木金助(菊五郎)  ほか 大詰(伊勢)御師大黒戎大夫内の場=戎大夫弟子万斎実は鳴海春吉(菊之助) 石谷歩左衛門妻園生(時蔵) 足利家家臣富川和平多(萬太郎)
大詰(尾張)鳴海潟の場=小田家後室操の前(田之助) 小田家奴瀬平(権十郎) 小田家家臣岩瀬久馬(亀蔵) 足利国姫(梅枝)  小田勘十郎春勝(松也) 小田上総介春長(松録) 柿木金助(菊五郎) 足利家家老(石谷歩左衛門(彦三郎) 石谷歩左衛門妻園生(時蔵) 歩左衛門一子石谷司之助(右近) 足利家腰元関屋(萬次郎) 足利家重臣最上新兵衛(国蔵) 鳴海春吉(菊之助) 大詰(尾張)木曽川の場=鳴海春吉(菊之介)が木曽川の水が流れる中、鯱と戦う 舞台に流れる水はどうなっているのか?
水に濡れながら鯱と戦う姿は圧巻

すじがき・・・尾張の国主小田家の二男春勝は生来の遊びすきで、茶摘み女の踊りを愛で、女たちを追いまわす。既春勝は、禁廷よりの指図に従い将軍の娘国姫との縁談が決まっていた。日は茶摘み女こそ、春勝の許嫁 国姫その人だった。盗賊向坂甚内(松録)と柿木金助(菊五郎)とのにらみ合いと駆け引き。
小田家が君臨する那古野(名古屋)城の当主春長(菊之助)は2人の偽を名乗る勅使南宮左中将友明(菊五郎)ともう一人の南宮左中将友明(松録)が現れ、同じ勅じょうを述べる。どちらも偽物。
天守閣の大屋根に、柿木金助が大凧に乗って舞い降りた。怪しく光る鯱の口中に手を入れると「遠霞の一巻」があった。これを手にして大願成就の吉相と喜ぶ。小田家に滅ばされた三韓の武将八代簀八寛(やよすはっかん)が一子。その恨みを晴らそうと、父の形見である鯱に乗り、日本国を転覆させる企みを宣言し、金助は術を操って鯱とともに虚空に浮かび、いずくともなく消えて行った。
金助の隠れ家に春長(松録)が鷹狩りに来る。父を滅ぼした小田春秀の嫡男春長を討つ今が挙兵の時と金助と母村路は勇み立つ。しかし春長の顔をみた村路は「そちゃ甚内」と驚く。村路はかって赤子の春長をそれと知らず乳母として育てたのであった。運命の悪戯か敵同士を乳母として育てたことを知り自害する。金助に隠している国姫と神武の旗を返すように頼んで村路は息を引き取った。
伊勢の恩師大国戎大夫(おんしだいこくえびすだゆう)の祈幬所。正月から金鯱観世音が鎮座し、金田金大夫なる男の祈幬が評判を呼んでいる。多くの参詣人で景気が良く、戎大夫(円蔵)はご機嫌。その弟子に万斎(菊之助)という男がいた。実は柿木金助の行方を詮議する鳴海春吉の変装である。春吉は金大夫が金助ではと疑い、園生に知らせていた。奉納金の盗難が金大夫のしわざとばれ、泥棒事件が暴かれ、万斎の疑いが晴れ、万斎が小田家の忠臣鳴海春吉だと園生から聞き、すぐお互いに好き同志のおみつとの婚礼の準備にかかるのであった。激しい大水の中で春吉(菊之助)が竜神丸を手に金鯱と勇敢に戦っている。そしてついに竜神丸で鯱の目を突き刺して退治し、遠霞の1卷を取り戻した
足利・小田家を滅亡させる金助の大望は叶わず、小田春長の働きにより味方は残らず討ち死に。術の破れた金助は単身那古野城に攻め入ったが、これも大軍勢に囲まれ、金助の命運は尽きた。が宝物が揃った上は金助の命をとるには及ばないと考えた春長は、八寛・村路夫婦への供養として、雌雄の金鯱を城の天守閣に新たに作った。その目映い輝きを遠くに眺めながら、皆は足利・小田両家の繁栄、日本国の安寧を祝すのであった。

                     
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